暫しの沈黙の後、茉樹くんが口火を切った。 「今日は・・・偶々ですけど」 −−《〇〇駅ー、〇〇駅でございます。御出口は右側・・・》 電車が停まった。 音をたててドアが開く。 一気に春の風が舞い込んで来た。今日は風が強い。 「何か言った??」 電車から降りて、振り返り、尋ねる。段差もあって、上目遣いになってしまった。 茉樹くんはボーっと、まだ電車の中に立ったままだ。