「このあいだは聞かなかったけど、一年生だよね?」
「はい」
朝の電車に揺られながら、立ち話をする。
「ってことは、先輩・・・ですか」
「うん、二年生だよ。」
名前も言おうかと思ったけど、訊かれてもないのにただ偶然(・・・でもないけど)会ったひとに名乗るのは、おかしいかと思ってやめた。
「じゃあ、先輩ですね。俺は一年の、忠岡茉樹です」
「ま・・・まつき?」
「変わってますよね。」
本当に変わってる。女の子みたいな名前・・・。
彼が名乗ったからには、私も言わなくてはならなくなった。
「路鷹しおり・・・です」