でも、あたしはそんな事知らなかったんだよ。


「あのね、美花が気に入るか分かんないんだけど…」

「なぁに?」

お母さんは、手に持っていた紙袋から茶色の物を取り出してあたしに渡した


「ウィッグ…」

「そうよーこれ可愛いでしょう?美花もナンパされちゃったりしてねっ」

「ないない…っ」

「み…はな?」
気づけば泣いていた…

涙がポロポロ止まらなかった

「おかあさっ…」

「美花はいい子だからね、病気がいーように向かってるって、お医者様がおっしゃってた。」

お母さんは、あたしの背中を撫でながらそう切り出した。

それに対してコクコクと頭を上下させることしかできないあたし。