「いらっしゃいませ」


俺が支配人に会釈すると、


「ご案内致します」


杏花と共にテーブルへと案内された。


テーブルの上には綺麗な装飾が施され、


柔らかい灯りのキャンドルが灯っていた。


支配人からワインのメニューを差し出され、


俺は杏花好みの甘めのワインをチョイスした。



料理が運ばれて来ると――――、


「要?もしかして……貸切?」


「ん?どうだろ…」


「……そうなのね」


俺は話を誤魔化したけれど、


辺りを見渡せば一目瞭然!

 
……貸切以外考えられない。


杏花は苦笑いしながら、料理を口にした。


この状況でもまだ気づかないのか?


俺はふとそんなことを考えながら


自然と笑みが零れた。


この先、杏花はどんな顔をするだろうか。