「要?ここ……」


「ん?」


杏花は目をまん丸にして、入口で立ち尽くした。


「おいっ、入るぞ?」


「えっ、でも…」


「大丈夫だから」


俺は杏花の手を握り、店内へと。



杏花がすごむのもムリは無い。


ここはハリウッド俳優や首脳クラスが


お忍びで足しげく通う…会員制レストラン。


店内は通常3組…多くても5組しか入れない。


俺はこの店を貸切にして貰った。


ん?俺にそんな力があるのかって?


いや…実は会長からの結婚記念日祝いに


貸し切って貰ったんだ……。


  “ 結婚1周年 ”


本当はどこか南の島にでも旅行に行きたかったんだが、


杏花の仕事が忙しそうで…。


そんな杏花に合わせ、近場でって思ったんだ。


あんなに夢中に仕事をしてるのを見てたら


我慢するしかないだろ…。


俺ってホント杏花には甘いよな。