昼過ぎからの販促会議を終え、
自室にて決裁書類に目を通していると、
―――――バンッ!!
「社長ッ!!大変です!!」
ノックもせず、血相を変えて沢田が入って来た。
「ん?どうした?そんなに慌てて珍しいな」
俺は手にしたファイルを閉じて
「社長………杏花様が…」
「ッ?!杏花がどうした!?ん?早く言え」
沢田は顔を歪めて…
「何者かに連れ去られたようです」
「あぁッ!?連れ去られたって、護衛はどうした!?杏花につけているんだろ?!」
俺は物凄い剣幕で、沢田の襟元を掴んでいた。
「それが……」
「ハッキリ言え!!護衛はどうした!?」
沢田はさらに顔を歪ませ、重い口を開いた。
「いつも通り、17時半過ぎにお店を出られて…」
「………」
「此方へ向かわれていたのですが…」
襟元を掴む手が震え始めた。