韓国の出張から戻って数日。


今回のプロジェクトの打ち合わせを兼ねての会食の日。


いつもより少し遅めの帰宅となった。


玄関を開けると部屋は薄暗く、妙な感じに襲われた。


現在の時刻、22時15分。


この時間なら大抵、


リビングで仕事をしているハズの杏花がいない。


『夕食は要らない』と話しておいたから、


食事の用意が無いのは気にならないが、


部屋が暗いのが少し気になる。


たとえ先に寝る事があっても、


いつもは明かりをつけておいてくれるハズ。


俺は違和感を感じてまっすぐ寝室へと向かった。


すると―――――、


ベッドの上に部屋着のまま横たわる杏花が。


布団も掛けず、余程疲れているのか?


もしかして……具合が悪い?


俺は杏花の脇に腰掛け、


そっと杏花の額に手をかざした。