コンコンッ――――
会社の自分の部屋で書類の決裁をしていたら…
「はい」
「失礼致します。社長、宮本弁護士がお見えに…」
「通してくれ」
俺は机の上をサッと片付け腰を上げると、
部屋に入って来たのは和成ではなく、
父親の宮本邦友(くにとも)弁護士であった。
俺は驚き、立ち尽くしてしまった。
すると―――、
「久しぶりだね、要君」
「あっ、はい…そうですね。……どうぞ」
俺は応接室のソファへ促し、自分も腰を下ろした。
急にどうしたんだろう……アポ無しで。
驚いている俺の表情を見ながら…
「要君、落ち着いて聞いてくれるか?」
「えっ?…………はい」
彼の真剣な顔つきに、俺まで険しくならざるを得ない。
すると、カバンの中から書類らしきファイルと封筒を取り出し
テーブルの上に広げるように並べ始めた。