「それから、これも」

博士がぶっきらぼうに差し出したのは、また携帯だった。

リョウちゃんの携帯だ。

「本当は解約すると、機械も返さなきゃいけないらしいんだけど、事情を話したら、分かってもらえて…」一応、形見って事で。

博士は、いつの間にかそんな事をしてくれていた。

おそらく、カズ君も似たような苦労をしたんだろう。

そんな無理をして手に入れた、つながらない2台の携帯がここにある。

けど。

この携帯は、僕の大事なものにつながっている。

リョウちゃんの強さも、カズ君のやさしさも。

全部、この携帯から受け取る事が出来る。

窓を開けて、青空を見上げた。

僕は、つなげなければならないのだ。あの青空に向けて、オモイッキリ響かせなければならないのだ。