「タク。」

リョウちゃんが短く僕を呼んできた。

もう逃げられない。僕もリョウちゃんに背中を押されて歩き出す時が来たみたいだ。

「タク。本当にゴメンね」

リョウちゃんが真っ直ぐ僕を見て言った。

「親らしい事が何も出来なかったけど、私はあなたの親になれてよかった」

勝手な言い分だ。僕だってそう思ってる。

「これから先がすごく楽しみなんだけど…。でもこれからは、あなたの判断であなたの思う通りに生きて。」

ずいぶんと言いたい放題だ。悩んだ時は?困った時は?どうする?

リョウちゃんは口をオモイッキリ横に広げて笑った。

「大丈夫!タクは絶対間違えない!」

どんな時も悩んで選んだ道は全部正解に続いているよ。

魔法の言葉が心に響く。