屋上はとても気持ちがいい。

何よりも太陽の光がありがたい。

「海とかプールとか」行けなかったね。

リョウちゃんが遠くをみながら言ってきた。

こういう時なんて言ったらいいか判らない。

その通りだけど、そんなこと気にして欲しくないときの返事のしかた。

結局僕は黙ってしまう。

「夏休み楽しみにしてたのにねえ」

僕はまだ黙り続ける。

「けど、大丈夫だよ」急に根拠の無い大丈夫はカズ君の影響かな?少しだけ耳に心地よかった。

「タクにはこの先たくさんの夏休みが来る」

「そうだね」

間を空けずにそう答えたのは、その行間に置かれた言葉を聞きたくなかったから。

リョウちゃんが何か伝えようとしている事がわかった。

何か大事な事を。