病室に入るなり、カズ君とリョウちゃんはしゃべりまくり始めた。

実際しゃべりまくっているのはカズ君で、リョウちゃんは笑って頷いている。

ただ、時々咳込んでしまう。笑っているだけでも人間は体力を使ってしまうもんなんだとリアルに考える。

背中をさすってあげると落ち着いた。何となく僕はさすり続ける。

カズ君がしゃべって。リョウちゃんが笑って。僕がさすった。

3人がそれぞれの役目をそれぞれこなす事で、部屋の中の空気が澄んで行くように感じられた。

きっと、カズ君の持つ空気だ。

カズ君はいつも必要な時に必要な分の役割をこなす。

スポンジみたいに形をかえて、スルッと入り込む。でもやり過ぎない。

だから、カズ君といると頼りないけど安心するのだ。