「タク。」

遠くでリョウちゃんが言った気がした。情けないことにうずくまって泣き続ける僕の背中の方で。

カズ君や博士も何か言っていた気がしたがあまり聞き取れなかった。

その時。僕の背中が温かいぬくもりに包まれた。

「ごめんね。タク。私頑張るからさ。少しでも長く。」

リョウちゃんが今度は耳元で言った。

リョウちゃんが力を込める両腕はとても弱々しい。ホントはベットからでちゃダメなんじゃないか?

泣いてる場合じゃない。支えられてる場合じゃない。

「ダメだよ。リョウちゃん。寝てなきゃ」そうだね。リョウちゃんをベットに戻し、僕は改めてリョウちゃんを見た。

「約束する。私頑張る。1分でも1秒でも長く!」

リョウちゃんの力強い目に僕も応える。

「うん。ありがとう。」

僕たち親子はかたい握手を交わした。