「博士。」僕はすがるような思いで博士を見た。何とかしてよ。本気で!!

博士は何も言わずに床を睨んでいる。あの時と同じだ。怒っているのか泣いているのか、解らない顔をしてる。

「カズ君。」大丈夫なんでしょ?根拠とかいらないから、いつもみたいにそう言ってよ。

カズ君はリョウちゃんを見ていた。無表情なその顔は、笑っているように見えた。

「タク、ホントにゴメンネ」

今度はこっちを見てリョウちゃんが言った。真っ直ぐこっちを見てくる。

ゴメンで済むのか?そんな簡単な事なのか?いいよリョウちゃん、とか言っていいのか?

ムカつく。

僕は早足でリョウちゃんに近付いて行った。近くまで来て、右手をおもいっきり振り上げた。

そして力いっぱい振り下ろす。

バシッ!

寸前で止めたのはカズ君の大きな手だった。