そして僕はそんなざらついた不安を抱えたまま病室にたどりついた。

部屋の真ん中にはベットがありその傍らに博士が立っていた。

ベットに横たわっているのがリョウちゃんだ。

リョウちゃんは僕に気付くと薄い笑いを浮かべて手を振ってきた。

僕は何も答える事が出来なかった。一週間振りのリョウちゃんはものすごく小さくなったように見えた。

「タクごめんね。突然いなくなって。元気だった?」

かすれたようなか細い声はリョウちゃんの声じゃ無いように思えた。

「ご飯、ちゃんと食べてた?勉強は?」

「リョウちゃんは?」聞いてから少し後悔したけど、もう止まらなかった。

「リョウちゃんは大丈夫なの?もう帰ってこれるの?もうどこにも行かないの?」

リョウちゃんは僕の目を真っ直ぐ見てきて「ゴメン。タク」と言った。