「正直僕は乗り気ではありません」博士は言葉通り悲痛な表情を浮かべている。

「ホントに僕でなければだめでしょうか?」この場合博士の言い分としてはあまり適切ではない気がした。私はただ博士を見る。

ため息を交えながら博士は椅子に座りボーッと私の後ろの壁だろうか?を見ている。

スーッと息を吸い込むとリョウコさんと呟くように言い、目をグッと覗き込んできた。

「リョウコさん。僕は一度あなたを裏切っている」それでも、と言いかけて博士は静かにため息をついた。

「すいません。弱気になってました。リョウコさんの前で恥ずかしいです」

私はただ博士を見る。さあ作戦を促すとまるで別人のように強い眼差しで話し始めた。