やがてファンファーレは鳴りやんだ。

枕元の時計を見ると9時をまわっている。この時間に寝ているようじゃ完全に遅刻だろう。

そう考えると、やっぱり違和感がある。

いろいろとおおざっぱなリョウちゃんも何故か時間にはきびしい。

そのリョウちゃんが部屋の隅で、仕事の時間を顧みず寝ている、この携帯の持ち主と着信をなんで無視しているんだろう?

僕の夏休み初日、寝坊プランは、ここでくじけた。

勢いをつけて、布団からでる。

起きてみて、部屋全体の雰囲気でようやく気付いた。

リョウちゃんがいない?

隣の部屋や、キッチンを見てみても気配すら感じない。

おかしいな?とは、思いながらも、僕は早く起きてしまった原因を思い出した。

そうだ。カズ君を起こさないと。