お姉ちゃんに、婚約者のことを聞いたことはある。 だけど、いつもはぐらかされていて、何も知ることが出来なかった。 「そうだよな。 そんなんだよ」 何に納得したのか、頷きながら私に触れる。 腰ぐらいまであるストレートの黒髪を撫でた。 それから手を滑らせ、私の頬を撫でた。 「この瞳も、唇も、体全体的に、千夏に似ている」 唇を指でなぞったあと、触れるだけのキスをした。