そして、他に人はおらず、一人暮らしのようだった。 「何か飲む?」 この時になって、ようやく声を発した。 「え? あ……イヤ……」 急に聞かれて返事に困っていると、彼はクスッと笑った。 「何も入れないよ。 何があっても、千紗は殺す対象にはならない」 彼は、はっきり言った。 そんなことを心配している訳じゃないけど。 返事をしない私をよそに、彼はてきぱきと飲み物を入れて戻って来た。