それに私は、気付かないふりをした。

下手に関わりたくなかったから。


もちろん、社員に何かするようなら、見て見ぬふりは出来ない。

そんなことは、許さない。


ここは、私の居場所。

彼と離れたあとに、唯一残る居場所だから。



壊れてしまうはずの日々は、案外続いていた。

相変わらず、刑事とのカーレースは続いているけど。

それでも、本宅に着くまでにはまいていた。


その間、当然彼には逢わなかった。

逢うのは危険だと分かっていたから。