その日を境に、私は普通の生活に戻った。

彼と出逢う前の生活に戻ったんだ。


会社は、行けなくなった時からなんとか長期休暇を取っていた。

その会社にも、復帰した。


何か変な雰囲気になるかと思ったけど、何も変わらず迎えてくれた。


そんな姿に、涙が出そうになった。


それと同時に、何も知らないことに安心した。




「ゆっくり休めた?」




お姉さんが、優しい声でそんなことを聞いてきた。


その問いには、苦笑いするしかなかった。

ゆっくり休めているはずがないのだから。