「遅いよー! 早くーっ」


私がやっとの思いで辿り着くと、彼は待ちくたびれたように言った。


「ごめんね」


私は言うと、彼の隣へ座った。


「いいよ。・・・ボクこそ、ごめんね? 」


優しく髪を撫でられながら耳元で囁かれる。


「……ふふ」


不意に私に顔を近付けた彼は、私の頬に軽い口付けを落とした。


「あぅ……」


突然口付けられた私は動揺し俯いてしまう。


「かわいい」


首筋を擽られ、悲鳴のような声が上がる。


「・・・さくって、首筋弱いよね……」


結婚してから1月、私達はお互いのことを渾名で呼びあっていた。


「あきが擽るんでしょ? 」


拗ねたように言うと、強く抱き締められた。


「ごめんってば」


拗ねないで、囁かれ拗ねてないもん、と不機嫌な声で返す。


「・・・」


ぎゅ、更に強く抱き締められお互いの温もりを確かめるように私も抱き着いた。