「――はぁ…」

降り続く小雨。
傘から滴る水。
はねる髪。
べたつく肌。
蒸し暑い気候。
濡れる荷物。
小さな水溜まり。


―あたしは、
"梅雨"が好きじゃない。

良いことが無いから。


そりゃあ、あたし以外の人や動物に
梅雨が好きってのがいると思う。


だけど、
あたしは嫌いだ。



―ザァァァ…

だんだん強くなってきた雨に急かされ、
家に向かう足を早めた―。



――ガチャ…。
「ただいま…」

家のドアを開け、
濡れた傘を玄関の横に立てかける。

両親は仕事。
弟の亮は保育園に泊りらしい。


あたし、
坂下結菜(ユイナ)は、
帰宅部の高2。






あたしは家のソファに座り、濡れた体を拭きながら、しばらくテレビを見ていたけど、
ニュースになったから、コンビニへと向かった。

あぁ。また濡れちゃうや…。