『ジュン?』
『何、マイク』
『ハルカっていう人から電話だよ』
『…ハルカ!?まさか!!』
『ジュン?』
俺はマイクの声を聞かずに、電話な飛び付く。
「西城!?」
「久しぶり、純くん」
「…なんで?」
「ルール違反なのは分かってるよ。ただ、美乃梨が可哀相で」
「美乃梨…?あぁ、西城と美乃梨の結婚そろそろだったな」
「純…日本に帰って来い」
西城と話すのはいつぶりだろう。
美乃梨と最後に話したのより前な気がする。
「できないよ」
「親を裏切れないって?」
「そうだよ。それに俺が日本に帰った所で西城と美乃梨の結婚がなくなるわけもないだろ」
西城は昔から取り留めのない奴だった。
底抜けに明るいのか、とことん暗いのか、嫌なのか良いのか。
西城は「隠す」という行為がうまかった。
きっと、幼馴染みの俺や美乃梨ですら本当の「西城遥佳」を見たことはないと思う。
「西城…美乃梨、元気か?」
「あぁ。良い女だよ」
その言葉が、俺を安心させる。