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八月十五日。
始業式まであと二週間と二日。
楽しい時こそ早く過ぎるのだと分かっていながらも、時よ止まれと願う。
人間はきっと学習しない生き物なのだ、と彼は風鈴の音を聞きながら思った。
夏休みが終わって欲しくないと思うのは、きっと人類に共通した思考だ。
宿題なんて開いてもいないのに、あと二週間と二日で夏休みは終わってしまう。
二週間と二日で、またあの殺伐とした日常へ戻らなければいけない。
時の流れる早さとは、時に残酷で無情なものである。
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