「あるのかな......根性、」
「あるって。なかったら今頃蒸発してる」
「......そっか、あるんだ、僕にも」
うん、あるよ、と彼女が返すと、彼はうれしそうに微笑んで、カップの中の溶けたかき氷を飲み干した。
「涼しくなってきたね」
また彼女が唐突に話題を変えた。
時間はもうじき三時半、そろそろ夕方なので確かに気温は下がっているようだった。
「そろそろ帰ろうか」
――あの、さ。
彼女が彼の服の裾を掴んだ。
――何?
彼は振り向いて俯いている彼女を見つめた。
彼女は俯いたまま、口を開いた。
「明日、淵添え川に行かない?」