「次は外さないから」
まるで僕の動きを最初から分かっていたかのように嘲笑う。
さすがとでも言っておこうか。
プロ以上の腕前。僕以上の実力。圧倒的な差が分かる。
悔しさを堪えながら刃物を持つ手に力を込めた。
僕は亞蓮へ刃を向けて走る。まるでスローモーションのようにゆっくり、ゆっくりと時が流れていくような感覚だった。
亞蓮の表情はよく見えない。笑っているのか泣いているのか悲しんでいるのか何も感じ取れない。いや、そっちのほうがいいのかもしれない。
もう僕は何も考えない。僕は殺し屋の黒ウサギ。
僕の「仕事」は誰にも止められない。邪魔させない。
ただ目の前にいるターゲットを殺す。それが僕の仕事なんだから。
ねえ、僕何も間違ってないよね?