「俺ばっか泣いて、ごめんね」




男なのに、とか思ってるんだろーな。




「ううん。……あたし、玲央くんが思ってるより玲央くんの弱い部分、好きだよ」


「…そっ、か」


「だから、無理に年上っぽく見せようとかしなくていいんだよ。無理しなくていいからね」




なんか、言ってから恥ずかしくなっちゃった。




だって今のセリフ、結構すごい。




歯が浮くような感じになって俯いていると、玲央くんは笑って




「何でひまが照れてるの?」




と、あたしの顔を覗き込んだ。




「何でもないっ!帰ろ!」




だめだ。

やっぱりああいう慣れてないセリフを言うのは控えよう。




いざって時にしか言わないでおこう。




あたしは校長室まで来た道をまた戻り始めた。