「これでやっと、堂々とできるね」




玲央くんはあたしを抱きしめたまま無言で頷いた。




「帰ろっか」




大分息が落ち着いてきた所で、玲央くんはあたしを離した。




涙でうるうるした目の玲央くん。




こんなときに言うのはおかしいけど、可愛い…。




あたしに思い切り抱きついて、ボサボサになった前髪すら愛しい。




「前髪ボサボサだよ」




あたしは玲央くんの前髪に手をかけて、いつもの斜めに分けてある前髪を作った。




「ありがと」




そう言って、無邪気に笑う顔があたしは大好き。