彩都が来なかったら冬夜が龍を抱えて帰ることになっていただろう。
冬夜と龍では明らかな体格差があるため非常に苦労したに違いない。
「そうだな。…そういえば」
小さくため息を吐いた彩都が呆然と兄妹のやり取りを見ていた祥貴に視線をやる。
「龍をこんなにしたのはあいつか?何なら俺が始末をつけてやるけど?」
顔は笑っている彩都だが、目は全く笑っていない。
アイツと言われてまだ祥貴がいることに気付いた冬夜が驚いたように振り返った。
「まだ居たのか。…彩都、あいつには手を出すな」
下手なことを言うと本当に祥貴を殺しそうな彩都を冬夜が止めた。