「ダメ…!間に合わなっ……」

辛うじて振り向くことは出来たが、後ろを愛緋が見たときにはすでにヴァンパイアが目の前に迫っていた。

思わずきつく目を閉じてしゃがみこんだ愛緋は、心の中で祥貴に助けを求めた。

しかし、予想していた衝撃が愛緋を襲うことはなかった。

代わりにふわりと体が浮いた。

「大丈夫か…?」

恐る恐る目を開けると愛緋は見とれるほど綺麗な女の人に抱きかかえられていた。

否…人と同じ姿だがこの気配は…ヴァンパイアだ。

しかも、純血の…。

「ヴァ、ヴァンパイア…!?」