「あなた、優が来てくれたわよ。」

 しかしなんの応答もなく、ただ心臓の動いてる音しか

 聞こえなった。母さんは笑って話しかけてるけど、

 顔は目はいつもなみだ目だった。
 
 俺はそんな母さんになにもできずにいた。

 「父さんは生き返る。」「大丈夫だ」

 の一言さえもかけることができなかった。

 「優。お母さん花変えてくるね。」

 そういって、病室を出て行った。

 「なぁ父さん。俺ら情けないよな。大事な女1人

 守ることができなくて。できることは泣かせることしか

 できないもんな。そんなの情けないよな。

 だからさ、生きて守ってあげないといけないよな。

 だからいつまでも目閉じてないで目あけろよ・・・。

 また、母さんを笑顔にさせてやれよ・・・・。

 なぁ、とうさんっっっっっっっ・・・。」

 俺は泣いていた。泣いていても、俺の鳴き声と

 父さんの心臓の音しか聞こえなかった・・。

 しばらくして、お袋が病室に来たと同時に、父さんの症状は悪化した。

 しかし、誰もが、助かることのないと思ったときだった。

 父さんの心臓が動き出した。

 「奥さん、助かるかも知れない。」
 
 と、医者はその言葉を残して治療室に入っていった。