「俺もうすぐ死ぬんだ・・・・。」

 「冗談はやめろよ」

 俺が今話してる奴は翼だった・・・。

 「冗談だったらいいのにな・・。」

 「本当なのか?」

 「うん・・・。こんなに幸せなのになー」

 翼が死ぬなんて考えられなかった。

 「治るんだろ?」

 「手術して完璧に治る確率が10%。後遺症が残る確率が30%。残りの60%が治らない・・・。」

 俺はなにもいえなかった。

 「繭には黙ってて。俺がちゃんと話すから。」

 「おう。」

 「誰にも言うなよ・・・。」

 「分かってるー」

 俺は翼になにも言ってあげられなかった・・。

 今の俺は本当に情けないと思う。

 好きな女には気持ちのひとつも伝えられない。

 親友にも 大丈夫 の励ましの言葉ひとつもいってやれない。

 なんで何でもできる翼が病気なんだよ・・・。

 なんでなんにもできない俺が健康なんだよ。

 俺は1人で泣いた。