「莉絵?」

「はい!って、うおっ」


名前を呼ばれたから勢いで返事をしてしまった。

しかも…うおって…うおって…


うぎゃあああ。なんて声やああああ。


「ぷっ。うおってなんやねん」

「いや、その、つい…出てしまった声といいますか…」

「ぶふっ。あかん、腹壊れそうやわ」

「そ、そんなに笑わんでもええやん!」


大体そんなに笑えんやん!ちょっと変な声が出ただけやん!


「はー、おもろいわ。てか、ずっと見てたん?」

「へ?…あー、ちゃうけど、ちょっと入りにくかってん」

「んー、まあ、俺も勝手に上がりこんでもうたしな。ごめんな」

「あ、ええねんええねん!どうせおかんが強引に上げたんやろ?あの人そーいう人やから」


そう言って雪弥の顔を見ると、寂しそうに笑っていた。


「え…っと、雪弥?」

「ええなあ、と思って」


また寂しそうな笑顔。


「え?」

「ん、なんでもない。なあ、ちょっと抱きしめてもええ?」


「へ!?あ、ど、どうぞ…」


小さく微笑むと、ふわっと抱きしめてきた。


あ、雪弥のにおいや…なんか、安心する…