あ、せやせやと階段を登り終えたおかんがあたしを再び見た。


「莉絵の彼氏さん通しといたでー」

「…は?かれ…し…ってはぁ!?」


うそやん、いつの間に!?


そんなあたしの心の声に気付いたのか、偶然かは分からないけどおかんが口を開いた。


「さっき新聞とろー思って玄関でたら外におってー。莉絵の彼氏さん?って聞いたらそうです言うから、中に入れてあげたんやん」

「それならもっとはよ言ってや!もう!」

「はいはい。ほな、ごゆっくり~」


終始ニヤニヤしながら、自分の部屋へ帰っていった。

ってまた寝るんかい!


…じゃなくて。


もー。着いたならメールか電話してくれればええのに。

てっきりまだ来てないと思ってゆっくりして…あああああ、もう。



なるべく音を立てずにゆっくりリビングのドアを開けて中を確認すると、ソファに座ってお茶を飲む雪弥がいた。


うわああああ。ほんとにおるやん!

いや、当たり前やけど。うん。当たり前なんやけど。


いつまでもここでこうしてるわけにいかないし、思い切って入ってしまおか。


いや…でもなんか…入りにくいよな。