≪あ、今にやけてるやろ?≫

≪は!?な、なんで?!≫


なんで分かったん!?

エスパー?エスパーなん?


≪莉絵のことならなんでもお見通し、とでも言うとこか≫

≪な…なんかはずいわ…≫

≪ぷっ。なんでやねん。莉絵が恥ずかしがるとこやないやろ≫

≪いやせやけど…あかん、余計恥ずかしなってきた≫

≪なんやそれ。あ、ほなもうそろそろ家出るから一回切るな≫

≪あ、はーい。って、雪弥がうちに来るん?≫

≪え?ちゃうん?≫

≪あ、いや、ううん。ほなまたあとでー≫

≪んー。あとでなー≫


――プツッ


雪弥が切るのを確認し、あたしも携帯を閉じた。



なんか…こう考えるとほんまに付き合ってるんやな。

いやーでもやっぱ実感ないわぁ。


このときはまだ知らなかった。付き合うってことがどんなことか、友達から彼氏になるっていうのがどんなことなのか。


知るはずもなかった。