うざくなった私は海風を押しきって後ろを振り向く。




「あのっ…いいかげんにし…て?」



え…



後ろには誰もいなかった。



今になって聞こえなくなった蝉の鳴き声。



聞こえるのは海のさざ波だけだった。



は…?いや、後ろから足おとしたよね?



まさか…ね?ないない。私おばけなんて信じないタイプだしね。



「わっっ」



「きゃああああっ」



突然誰かに後ろから背中を押された。



えっ?なに?ほんとにおばけなんているんですか?



「どう?…びっくりした?」



声のする方を見上げるとさっきの美少年がたっていた。



「・・・・・・。」



もうだめだ。喋りたくもない。



恥ずかしすぎる…おばけ一瞬でも信じたとか…。



私は美少年を無視しておちた鞄を拾ってまた歩き出した。