心を取り乱す私とは対称的な顔であろう。 その事実が余計に腹立たしく思えたが、それ以上のことは口から出ない。 奴の弓をしなったような唇が開いた。 何か、内緒話でもするように茶目っ気溢れたそれは言葉でなくとも『すまないね』と悪びれもしない謝罪を含み。 「 」 いっそう更に、清々しくなるほどそいつは、さも当たり前のように声を出さずに笑うのだった。 あるべき声で、私を助けた理由というのを言って――