***
「ねーナツメ」
「話しかけんなブス」
「ナツメってさー、あたし以外の女の子と全然話さないよね」
「は?」
深くに眉間を寄せたナツメははたと顔を上げて、向かい合わせた二つの机を挟んだ距離感で目があった。
「……なに自惚れてんの? 自意識過剰じゃね?」
「違う違う、この前さ、3組のほのかちゃんがナツメと話したいけど怖くて近寄りがたいなーって言ってたんだよ。モテてるねえ青春だねえヒューヒュー」
「うざ」
「なんで他の女の子のことはブスって呼ばないの? うざって言わないの?」
「お前が女じゃないからじゃねー?」
「……」
なんとなく予想はしていた通りの答えが返ってきて、やっぱりなーと思わず笑う。
「何ニヤけてんの? きめえ」
「いえいえ、ナツメにとってあたしは特別な存在なんだなーって実感しただけですよ」
「死んでください」
おっと手厳しい。