意味わかんねー、と言いつつも、シャンデリア、シャンデリア……と指を折って数えて10回言ったナツメに、
「毒りんごを食べて倒れたお姫様は誰でしょうか!」
レンくんからの受け売りを早口で告げた。
「シンデレラだろ?」
ナツメはあたしと同じく見事に間違えたけれど、あたしはレンくんと同じように“単純だけど素直で純粋な……”などと彼に言いかけるような性分じゃない。
「残念でした! 答えは白雪姫です!」
「……あ」
「ではではではでは第二問!」
「なんかおかしいよ、お前、どうした?」
「ど、どうもしてなっしんぐー!」
「……」
「ピザって10回言って!」
香奈ちゃんにも教えてもらったネタを引っ張りだして、これまた早口で告げた。
ナツメも不信感を満面に出すけれど、あたしに付き合って「ピザピザピザ……」と繰り返す。
「では問題です、ここは?」
「肘だろ、2回も同じ手に引っ掛かると思ったら大間違いだぞバーカ」
ふっと笑うナツメに、何故だかとっても嬉しくなってしまう。
よくよく思い出せば、あたしはナツメが笑ってくれるといつも、心臓がぎゅっとしていた。
それが、この気持ちの正体をあたしに教えてくれるかのように、ドキドキと音は高鳴る。
「じゃあ第三問!」
「しつけー。引っかかんねーっつの」
「好きって10回言って!」
「好き、好き、好き……」
ナツメの“好き”を10回数えてから、
「……言ったけど?」
楽しげに笑うナツメにあたしもぎこちなく笑いかけた。