「……アドレス、知りたいなら素直に言えばいいのに」
「べ、べっつに、知りたくなんかないし」
「ほう」
「ほ、ほんとに、気にしなさんな」
「教えてやってもいいけど?」
「えっ!?」
「何驚いてんの? バカじゃね? きもくね?」
「いや、だって……」
心臓が、物凄い勢いで動き出してる気がする。ドキドキしてよくわかんない。
だって好きな子にしか教えないんじゃないの? それってどういうこと。あたしは? いいの?
――ああ駄目だ駄目だ。唇と指先が震える。寒さのせいだ、多分、うん。
「――ナツメっ!」
「なんだよいきなり。うるせえわ!」
「シャンデリアって10回言って!」
「はあ? なんで」
「い、いいから!」
この、あたしが作ってしまった変な空気を、あたしが抱いてしまったおかしな感情をどうにかしなければ……!
と、ぐるぐる回る頭で必死に会話をつなぐ。
レンくんレンくん、あたしを助けてくださいな。