「てかオマエ彼氏いたの?」
「……そりゃあたしにだって彼氏のひとりやふたりいるんすよ」
「二次元だよね、美紅の彼氏は」
「ちょっと香奈ちゃん余計なこと言わないで」
「あっ……」
「……そんな哀れんだ目で見ないでくれ」
横から口を挟んできた香奈ちゃんの言葉に、全てを悟ったように哀れみの視線(絶対バカにしてる)を向けてくるナツメを睨みつけた。
それからスクールバッグの中から、分かりやすいようにと派手なポーチの中に大事に入れておいた携帯型ゲーム機をとりだす。
「え、ちょっと美紅、学校にまで持ってきてんの? それ」
「ええ。あたしの生きがいですから」
「きめえゲームオタク」
「うるさいバスケオタク」
「きめえゲームオタク」
「何で2回言ったの」
「大事なことだから」
「……ありがとうございました」
いちいちムカつく……! 相手にするのも面倒くさい。
蔑むような視線を向けてくるナツメから顔をそらして、ゲーム機の電源をつける。
そうすればあたしの“元彼”、城園寺レンくんがこっちを見て爽やかに笑っていた。つられてあたしの口元も緩む。