「何笑ってんだよ」


「別にい、ぐふふふ」


「やめろマジ笑い方がきめえ」


「ひどいなー! ……ほら、はよ部活行きなよ」


「言われなくても行くっつーの。お前が呼び止めたんだろ」




どこか不機嫌気味のナツメの反応が面白くて、さっきのあのアホっぽい表情を思い出してもう一度吹き出した。




「頑張って、部活」


「お前もな」


「せんきゅーべりまっち」


「……結局聞かねーの?」


「え?」




首を傾げた瞬間、

「俺は、興味はない奴には話しかけないって言ったし、嫌いな奴と話したりもしねえ」

ぶっきらぼうに、だけど真っすぐあたしの目を見て言って、ナツメはそれ以上は何も言うこともなく、あたしに何か言わせるでもなく、教室を出ていった。




「……え? ん? ……どういうこと?」




残されて静かになったその場所で、ひとり呟く。




“ナツメはあたしのこと嫌い?”

“俺は興味ない奴には話しかけないって言ったし、嫌いな奴と話したりもしねえ”