さすがのあたしも彼氏に臭い靴下嗅がせたりしないわ。こんなんでも恥じらいってもんは一応備わっています。
いや、ナツメにならするけど。嫌がらせ。ね。
「ま、心配すんな。お前に彼氏なんか向こう10年は出来ねえよ。宮内乙女ゲーオタクできもいしウザいし変態だし」
「……言いすぎじゃないのそれえええええ!?」
「アッ、図星だった? ごめん、宮内の悪口ならもっとあるけど言う?」
「……」
「なんだその目、キモッ」
「あんたがウザくてウザくてしょうがないって目ですけど⁉︎」
ナツメに憧れている全女子に教えてあげたい。こいつは話すととんでもないアホで、嫌な奴なのだと。
3組のほのかちゃんにも、近寄らない方が得策だと伝えてあげたい。
唇を尖らせてじっとナツメを睨みつけていれば、彼は徐にプリントをぺらりと持ち上げた。
「終わった」
そう言って笑う。
ナツメの持つプリントは全部答えがうまっていて、喋ってたくせにいつの間に解いたのだろう。器用な奴だと眉を顰めた。