そのままリムジンに乗り込んで、黒翼の女神は姿を消した。


もうお分かりだろう。


そう、彼女は特殊な家柄の娘さんなのである。


見た目や性格は女神のようなのに、出身は真黒くろすけ。


そこで付けられた二つ名が“黒翼の女神”なのだ。


あんな風にお付きがピッタリマークしてるから、誰も彼女に手出し出来ない。


というか、手を出したらその時点で試合終了だ。東京湾に沈められちゃう。


「黒翼の女神は健康のためにも徒歩で帰宅したいんだがな。周りの人間が過保護でいつもあんな感じだ」


「大変なんすね。裏の世界も」


ちょっとした親近感。彼女も苦労してんだなぁ。しみじみ。


「まあ、俺達は俺達のペースで帰りましょう」


「そうだな。早く帰って“はぐれ刑事純情派”を観なければ」