「許せなかった? でもこれって、相手の“帰宅道”を批判してるってことですよね。帰宅部失格だな俺」
笑って誤魔化してみたけど、内心はブルー。
先輩は他人の帰宅道を批判するようなことはしないのに、弟子の俺が批判しちゃってどうすんだよ。
これで完全に嫌われた。帰宅神の先輩からしたら、俺は最低最悪のクズ野郎だ。
さよなら、俺の初恋。
「いや、君は正しい」
おかえり、初恋。
「え?」
「度を過ぎた帰宅道は非難されて当然だ。私自身正当防衛とはいえ褒められるようなことはしてない。大抵のことは目を瞑るし、瞑ってもらう。暗黙の了解という奴だな。
だが今回ばかりは注目を浴び過ぎている。ヘリの使用が容認されれば、金銭的余裕のある者とない者とで大きな差が生じてしまい、直帰という競技そのものの存在が危うくなる。
さらに周辺地域への被害も考えねばなるまい。騒音に突風、学校への不法侵入にも当てはまるだろう」