「気のせいだよ。」



「なんで…」




急に頬が手で包まれる。


さっきまで、向こうにいたのに。


いつのまにか。


目の前にいた。


「なんで、俺と目を合わせない?」



「そんなことない。」



「あるだろ。今だって目あってない。」



「騙されるから。」




「は?」




「黒澤くんの目、見たら騙される。」




「なにに?」




「黒澤くんに。」





「俺、なんかした?」