「これ康平からか?」と興奮を抑えるようにして聞くと、早苗は黙ったままうんとうなずいた。

「見ていいか?」と聞くとさらにうん、とうなずき、あつしは手紙を手に取った。

あつしの時は1枚に書かれていた手紙は、早苗には3枚にも渡って長々と書いていた。

その内容は、

始めは何が書かれているか理解に苦しんだが、それはショックを受けるものだった。

あつしと早苗が別れてから康平は早苗と付き合っていたのだ。

その思い出が長々と書かれており、最後はこう締めくくっていた。

未だに早苗のことが忘れられない、 

早苗と別れて本当に辛く、このまま生きていてもしょうがない。

あつしの彼女を奪ったことの罪も償わなければならない。

本当に愛していた。

この気持ちを忘れないためにも俺はここで死を選ぶ。
さようなら。

ありがとう。

そして最後に、
俺と付き合っていたことはあつしに言うか言わないかは、早苗に任せるから。

と書き足してあった。

しばらく呆然として、そして手紙から目を離すと早苗は手を出し手紙を受け取った。

力のない声で「いつから?」とあつしが尋ねると下を向いたまま「あつしと別れてからすぐ」と答えた。

それから黙ったまま店を後にした。