まさかこの場に来ているとは思いもしなかったが、頭だけを下げ、また康平の方へ視線を向けた。

しばらくして訪れる客も居なくなり、最後に康平へ一礼をして立つと、外に早苗の姿が見えた。

外に出て、早苗の方へ寄っていくと、どこかで話をしない?と誘われた。

あつしは早苗と付き合っていた時に康平とも会わせていたので顔見知りだったし、お互いの彼女とダブルデートの様なものもよくしていた。

近くの喫茶店に入り、しばらく沈黙の後、あつしは康平からの手紙の事を伝えた。

その中には理由は書いていなかったが、許してほしい、と書いてあり、1週間前には2人でキャンプに行き、とても楽しそうにしていたことなどを話した。

早苗は黙ったまま話を聞き、最後まで話し終えると、ほおを伝う涙をぬぐった。
あつしは理由が分からない事、何故最後に相談してくれなかったのか、を悔しく思い、それが最後まで引っかかっていた。

すると、ずっと話を聞いていた早苗が一通の手紙を出した。

それは、あつしが康平から来た手紙と同じ封筒だった。