康平の家の前につき、ベルを鳴らすと顔なじみの弟が出てきて、暗い顔で頭を下げた。

「康平は?」と声を荒げ聞くと、

弟は、「死んだ」 とぽつりと言った。

ショックを露わにし「なんで?」と聞くと、弟も首を振り、「どこで見つかったのか?」と聞くと、
先週2人で言った砂丘の近くの海だった。

康平は理由こそ分からないが、最後に2人で行ったあの星を見に行ったのだった。

そしてそこを最後の場所に選んだのだった。

警察の話によると海に飛び込み水死だった。

まだ自殺か他殺か分からないが、あつしの手紙を見れば自殺とすぐに分かってしまうだろうと思った。

でもあつしは手の中に握り締めた手紙を見せるつもりもなく、ただ堅く握り締めていた。

康平の弟へまた連絡するから、と言い残し来た道をゆっくり自転車をこいで行った。

3日後、康平の葬儀が行われた。
警察の方も遺書がないものの自殺と判断をし、しとやかに行われた。

高校時代の友達も集まり、あつしは上着のポケットの中に康平からの最後の手紙をしまい、ずっと目をつぶっていた。

誰も康平とあつしがキャンプに行った事も知らず、なぜ鳥取で最後を迎えたのか不思議がっていたが、誰にも言うつもりもなく、ただあの時の事を思い出していた。

「やはり康平と俺は似た性格で、同じ感覚を持っていて、最後にはあの場所を選んだんだな」と思い、必死に涙をこらえていた。

焼香が終わり、最後まで康平の遺影を見ていると、後ろから肩を叩かれた。

振り返ると、久しぶりに会った早苗だった。